「伏魔殿NHKという戦後日本の蹉跌」

               『言志』編集長  水島 総

昔、企業を構成する人材の種類について、面白いレポートを読んだ。
どんな企業でも、全体の2割の人々が、企業活動の中核として、経営
や企画、運営を担っており、残りの7割はその2割の指導層の命令を
守り、言われるままに働いている層で、残った1割は仕事のできない
「お荷物」だが彼らも企業内の潤滑油の役割を果たしており、この
現実はどの組織でもほぼ共通しているというものだった。
私自身、小規模ながら企業経営に携わっており、妙に納得できる理
論だと思った。

NHKという巨大組織も例外ではない。
1万200人の職員と毎年「売上高」約7,000億円の組織NHKは、ここ10
年、反日的な報道と偏向を更に強めてきているが、一体誰がこれを
推進しているのかを考えたとき、前述の企業組織論から言えば、約
2割の意識的な「確信犯」がNHKの偏向反日放送を推進していること
になる。

その彼らが、「女性国際戦犯法廷」を扱った反日反皇室番組や、1万
人集団訴訟を起こした反日番組『NHKスペシャル Japanデビュー ア
ジアの“一等国”』を製作し、放映してきた。

この理論から言うと、今なお2ヵ月に1回の割合で起き続けるNHK職員
の破廉恥罪(のぞき、下着泥棒、盗撮、覚せい剤使用など)での逮
捕も、組織の落ちこぼれ1割の不祥事と思われるだろうが、落ちこぼ
れと犯罪者とはまったく違う。

このような犯罪逮捕者の異常な頻発と職員数から見た犯罪発生率の
高さは、国内外のすべてのメディアを見渡しても、世界中でNHKだけ
である。
問題は、放送人としての道徳性や倫理観を欠いたこの種の人々が、
わが国唯一の公共放送局の番組製作と放送業務を担っている現実だ。

一体、NHK職員が、破廉恥犯罪を頻発させ、反日番組を好き放題に製
作し続ける主たる理由と原因は何なのか。

1つには特殊法人NHKに対する国からのチェック機能がほとんど作用
していないことだ。
NHKは国会から予算と決算の審査を受けるが、議員たちがその役割を
まったく果たさず公共放送局のあり方に対する無知と迎合が議員たち
に蔓延している。
一方でそれだけ、NHKの議会対策が巧妙だとも言える。

しかし、安倍内閣誕生以来、議員たちもNHKの反日ぶりや綱紀のゆる
みをようやく認識し始めてきている。
何よりも安倍総理がそれを知っている。

かつて安倍総理と故中川昭一氏は、「女性国際戦犯法廷」の反日番組
問題でNHKと戦った経験がある。
総理自身がNHKの安倍嫌いを一番よく知っている。

その小さな最近の実例を挙げておこう。

先日、長嶋茂雄氏と松井秀喜氏が国民栄誉賞を国から授与されたが、
そのセレモニー中継での出来事だった。
松井氏が投手、打者が長嶋氏、捕手が原巨人監督、そして総理が審判
という形で行われた「始球式」で、総理のバストショット以上の映像
が一度も放映されなかったのである。
国民栄誉賞授与の時も、後ろ姿と声だけだった。

「政治利用」されるのを避けたという弁解をNHKはするかもしれない
が、国民が選挙で選んだ私たちの総理大臣である。
その顔を一度くらいはショットとして放映するのが常識ではないか。

こういうところにNHKの安倍嫌いが意地悪く反映されている。
これから参院選挙までこの類の反安倍、反自民ネガティブキャンペ
ーンが続くだろうから、読者はぜひチェックしていただきたい。


<海外放送で行われる売国的放送>


そして、もう1つ、NHKの反日腐敗の大きな理由がある。

親方日の丸システムの中で、NHK職員の平均年収は1,780万円という
飛びぬけて高い給与体系であり、公務員年収の約3倍、国民平均年収
の約4倍の高収入を得ている。
また、歳をとれば、29の関連子会社に天下りして、高い年収と退職金
の二重取りができ、贅沢な福利厚生施設を利用しながら安楽安泰の
「至れり尽くせり」の待遇を死ぬまで享受できる。

そんな人間たちがNHKを内部改革するなどとんでもない話なのだ。
だから、NHK内部からの「改革」に期待するのは、ほとんど不可能に
近い。

しかし、前述の理論にしたがえば、NHKを動かしている2割の層を総入
れ替えすれば、NHKはよみがえるということでもある。

先日、クライン孝子氏から電話で連絡があり、NHKの国際放送の
『NEWSLINE』という番組でキャサリン小林というキャスターが「靖国
神社は戦没者を祀っているが、戦争犯罪で有罪とされた人間も祀られ
ている」と発言したとの報道がされたと聞いて、調べてみた。
実際、その通りの放送がされていた。

NHKの国際放送は英語で世界53ヵ国に配信、放映されている。
この放送は、ほかのNHKの放送番組と違い、国際放送ということで、
受信料のほか、国からの税金が製作費と放送費に使われている。

つまり、国家と国民に責任と義務を持つべき日本の唯一の公共放送局
が、靖国神社はナチスのような「戦争犯罪人」が祀られ、尊崇されて
いるとんでもない場所だと、国民の税金を使い報道したのである。

「戦争犯罪人」とは、東京裁判で有罪判決を受け、死刑を執行された
「A級戦犯」と言われる英霊の皆様のことを指している。

もちろん、わが国の内部にも、そういう主張をする政党も政治家もい
る。
彼らはGHQ(連合国軍総司令部)の推進したいわゆる「東京裁判史観」
を鵜呑みにしたまま、国のために全身全霊を捧げ、一方的な戦勝国側
の裁判によって命まで奪われた7人の英霊の皆様を「戦争犯罪人」扱
いしているのである。

しかし、昭和27年4月28日に主権回復がなされ、昭和30年7月19日の衆
議院国会決議で、社会党や共産党の賛成も得て、名誉回復がなされて
いる。
また、サンフランシスコ講和条約の第11条の手続きによって、 関係
11ヵ国の同意を得て、昭和31年にA級戦犯の方々が赦免され、釈放さ
れたことと、刑の執行が終了したことからも、国際的な法に照らして
も、国内法に照らしても、「A級戦犯」の皆様の名誉は回復され、罪
人ではなくなっているのである。

この国家の名誉に関わる事実をNHKの「NEWSLINE」担当者は知ってか
知らずか、無視した挙句、前述のごとき内容を世界53ヵ国の人々に
向かって発言したのである。

まさに売国行為と言って過言ではない。
少なくとも、主権回復したのちの国会決議で名誉回復したことを伝え
るべきである。 


<参院選後にNHKの解体的改革が始まる>


放送法第4条には、放送番組の編集について、2項以下に、下記の規定
がなされている。


 2.政治的に公平であること。
 3.報道は事実をまげないですること。
 4.意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度
   から論点を明らかにすること。


百歩譲って、いわゆる「A級戦犯」を罪人と考える意見があったとし
ても、そうではないという対立する意見を放送法の規定通り、明ら
かにすべきである。
放送法の規定に従って、罪人とは認めない総理大臣や閣僚の考えや、
靖国神社参拝をしている議員が168人いることを、そのニュースの中
で明らかにすべきなのである。
『NEWSLINE』は、放送法を無視して、わが国をおとしめる一方的な
自虐史観による報道を世界に発信したのである。

NHK側は私たちの問いに対して、かようなメールで答えてきた。
   

 頑張れ日本!全国行動委員会 殿

 靖国神社をめぐる報道について回答いたします。

 ネット上ではNHK国際放送のニュース番組『NEWS LINE』で、
 「靖国神社は戦争犯罪者の神社だと伝えた」などという伝聞
 が広まっていますが、そうした事実はまったくありません。
 放送では「靖国神社は戦没者を祀っていて、その中には戦争
 犯罪で有罪判決を受けた人たちも含まれています」とコメン
 トしました。

 また、閣僚など国会議員が参拝したことを伝えていないとい
 うご指摘ですが、『NEWS LINE』では、4月23日に、春の例大
 祭にあわせて、超党派の160人を超える国会議員が、靖国神
 社に参拝したことや、4月21日などに安倍政権の閣僚が靖国
 神社に参拝したことを伝えています。

 5月2日
 NHK視聴者部

    
思わず笑ってしまうような答えだった。

私たちは、靖国神社に祀られるいわゆる「A級戦犯」の皆様への一方
的な政治的見方を報道すべきではないと伝え、問い質したのであり、
もし、そういう一方的な政治的見解を報道するなら、そうではないと
いう見方をしている総理や閣僚、多数の国会議員もおり、国会決議も
あるという事実を、同時にそのニュースの中で報道すべきではないか
と述べたのである。
別の日時の番組やニュースで閣僚や議員の靖国参拝の事実を報道した
から政治的に公平であり放送法違反ではないというNHKの主張は、
全く笑止千万のものである。

現在、裁判中のNHK1万人集団訴訟もそのような一方的な政治見解によ
って番組が製作された放送法違反を問うている。

今号の『言志』は、この伏魔殿NHKを特集として取り上げてみた。
参院選挙後、確実にNHKの解体的改革が始まることを読者の皆様に
「予言」しておきたい。

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