【巻頭エッセイ】

「日本国民には国防の義務がある」

                 日本文化チャンネル桜代表 水島 総

  秋をまたで
  枯れゆく島の青草は
  皇国の春に 蘇らなむ
  矢弾尽き
  天地染めて散るとても
  魂還り 魂還り 皇国護らん

         陸軍大将 牛島 満


先週の金曜から今週の月曜まで、沖縄、石垣島、与那国島に取材撮影で
行って来た。

もう一つの目的は、次第に現実化しようとしている中国の沖縄、尖閣諸島
への「直接」「間接」侵略に対する現地調査と、現地の皆さんと日本国民と
して何を為すべきかを話し合う事だった。
詳細はまだ発表出来ないが、実り多い訪問となった。

中国は経済の大発展を背景に、毎年軍備増強を続けて来たが、今やその
額は日本の防衛費の三倍以上に達している。
名目ではあるが、GDPも日本を追い抜き、世界第二位となった。

国内の内部矛盾の激化は凄まじいものがあるが、どんな時代の支那の
支配層にも、人民を人間としてみるような優しい思考は存在していない。
この政治経済軍事にわたる揺るぎない自信と傲慢な中華意識は、一種の
頂点に達しようとしている。

その中国共産党が、来年七月一日、創立九十年という重要な記念日を
迎える。
様々な祝賀行事が大々的に行われるが、尖閣侵略もその「祝賀行事」の
ひとつなのである。

来年六月十七日、中国共産党政府は、世界各国の華僑や反日民間組織
を使って、尖閣諸島の上陸占拠を計画している。
100隻以上の民間船を香港、マカオ、台湾その他に集結させ、尖閣諸島
周辺海域に全方向から侵入し、尖閣諸島各島にそれぞれ上陸、侵攻し、
占拠を目指す計画である。

この100隻以上の民間船には、世界各国の反日団体員や民間人を装った
中国人民解放軍特殊部隊員、人民解放軍OB等が大挙乗り込み、五星
紅旗を尖閣諸島各島に掲げ、尖閣諸島の中国領有を世界にアピール
しようとしているのである。
少なくとも、尖閣諸島に対して、元々有りもしない中国「領有権」の主張を
現実化したいのである。

その前段階の行動として、今年の秋、米国ロスアンゼルス市のコンベン
ションホールで「世界華僑大会」が開催され、尖閣諸島の中国領有が決議
され、翌年六月十七日に尖閣諸島に中国国旗「五星紅旗」を掲げようとの
決議がされることになっている。

その目的は、まず世界中の華僑たちの豊富な資金とネットワーク情報
発信力を使って世界的宣伝戦を実行し、尖閣諸島占領の黙認という世界
世論の形成を狙っている。
その後、華僑資金で準備した100隻以上の民間船で、尖閣諸島のそれ
ぞれの島に分散上陸し、占拠しようとするものである。
彼等は本気で実行すると宣言している。

中国当局とその諜報機関は、常に直接的な形では関わらない。
「間接侵略」の特徴は、民間や傀儡組織やその国の売国奴を使って
行われる。
直接侵略は、その国の内部が分裂混乱状態に入った時に初めて実行
される。

尖閣諸島への上陸占拠は、沖縄独立論から沖縄領有まで続く、民間を
装った日本への「直接侵略」の始まりとなる。
これは、戦後日本の敗戦時の混乱中に行われたソ連の千島列島の侵略、
占領や、韓国の李承晩による竹島占領と同じ、侵略行為であるが、戦後
六十五年以上も経た今、経済大国となった主権国家日本に対する公然
の「直接侵略」行為である。

なぜ、今、中国は日本に対する侵略行為を「民間人」を装い実行しようと
しているのか。

一つは中国国内の経済と政治の内部混乱が開始されるからである。

北京オリンピックから続いてきた国家的事業上海万博がこの秋に終了し、
後に残るのは中国経済のバブルの崩壊現象である。
経済の混乱と同時に、「中国で共産主義革命が起こる」とジョークが言わ
れるほど、貧富の格差は激しい。
金と権力を独占する中国共産党への民衆の怒りは沸点に達しようとして
いる。

今、中国政府は、国内に政治的、経済的大混乱がおきることを予測し、
それを何としてでも防ぎたいと考えている。
民衆の不満や怒りのエネルギーの爆発を抑えるために、最も有効な手段
は、中華ナショナリズムに訴え、中国国民の憎むべき「敵」を創り、自分
たちの失政を敵のせいにして、共産党政府に向けられるはずの怒りや
恨みを外敵に振り向けることである。

今、「敵」として標的に選ばれたのは、羊のようにおとなしく臆病な日本で
ある。

原因は、民主党政権が、発足以来推進してきた「友愛」「平和」という名の
周辺諸国に対する融和政策、また、防衛費削減や普天間問題に見られる
日米安保体制の揺らぎであり、また、小沢訪中団による胡錦濤への従属
朝貢姿勢や鳩山前首相による「尖閣問題は中国と話し合いで解決」など
の発言から、中国政府は、民主党最高幹部や議員たちが、国防安全保障
意識に薄いだけではなく、日本人として国家意識も薄く、臆病で腰ぬけの
集団であり、同時に、中国の経済利権によだれを流す政治家ばかりである
と見抜いてしまったのだ。

中国政府は、今の民主党政権の時だからこそ、1970年から主張し始めた
尖閣諸島の領有権を上陸、占拠によって現実化し、既成事実化するチャ
ンスと捉え、実行しようとしているのである。

現実を直視すれば、今、私たち日本人は戦争になっても仕方ない「紛争」
の真っ只中にある。
平和の空の下に暮らしているのではない。

しかし、戦後六十五年、占領軍によって作られた日本国憲法の前文その
ままに、私たちは自らの生命と運命を他国(米国)の「善意」に委ね、日本
国民としての誇りと名誉を「金儲け」と引き換えて来た。
私たちは米国に年間二兆から三兆円という大枚の「みかじめ料」を支払い、
周辺諸国に対しては、ひたすら「平和的」に優しく扱ってくれることを嘆願し
続けて来た。
私たちは金と社交で平和が作れるかのように、欺瞞と偽善の金を世界中
にばらまき、自存の為に「汗も流さず、涙も流さず、血も流さぬ」まま今日
まで来た。

中国、ロシア、南北朝鮮等、周辺諸国は、自らの危機に気づかぬ日本と
日本国民を見下し、嘲笑し、奪えるものは全て、民の命さえも奪おうと、
秘かに決意している。
当然である。中国の尖閣諸島侵略は、その最初のアクションなのだ。

フィリピン沖にあったスプラトリー諸島(南沙諸島)は、フィリピン、ベトナム、
中国、台湾が領有権を主張して係争していたが、フィリピンから米軍の
クラーク・スーヴィック基地が撤去され、米軍が撤退したのをきっかけに、
中国によって侵略、占領され、中国領として既成事実化した。

私は、当時のフィリピン国防相のメルカド氏にインタビューし、
中国のやり口を聞いたことがある。
まず嵐による海難事故だと主張して南沙諸島に中国漁船と共に
「漁民」が強行上陸する。

次に武装した漁船群が押し寄せて上陸し、「避難小屋」を作って常住する。
無論、「漁民」とは軍人の偽装姿である。
最後に軍艦が登場し、地上軍が進駐し、「避難小屋」をトーチカ状の防衛
施設に変えたのである。

彼等が民間人を装う事は常套手段である。
人民解放軍の特殊部隊やそのOBを使えば、「尖閣侵略」の目的は容易
に達成できる。

この事態の進行を我が国政府は、何ら危機として捉えず、これを防ぐ
準備を全くしていない。
いや、この現実を直視することすらしていない。


<日本政府が国防の義務を果たさないなら、
                 日本国民が国防の義務を果たそう>


「月刊中国」の編集長鳴霞氏によれば、日本に入国して来る中国人の中
には、人民解放軍特殊部隊員やそのOBが多いと言う。
中国政府が、七月一日付で在外中国人も含む「国家総動員法」を施行
した事と併せ考えると、もし、この計画通り、日中両国が尖閣諸島で深刻
な政治的、軍事的緊張関係に入れば、不法滞在を含む百万人以上の
在日中国人が、日本社会に対する「戦闘」を開始する。

その規模と激しさは、長野市における「北京オリンピック聖火リレー」に
全国動員された一万人以上の在日中国人による「長野市占拠」の比では
無い。
属国と化した北朝鮮のプロ工作員も共同行動を起こすだろう。

中国共産党の指示は、デモだけではないだろう。
彼等は全国各所で破壊活動を実行するだろう。
原発は襲われて奪われるか破壊され、放射能汚染が拡がる。
各所のインフラはずたずたにされて、飲み水には猛毒が混入され、電気
は停電状態となり、放火、略奪等、治安は乱れて最悪になる。

一部の愚かで臆病な日本人たちは、直ぐに中国政府の対日宣伝工作に
乗せられ、尖閣を諦めて中国との融和、平和的話し合いを主張するよう
になるだろう。

中国の尖閣占領は、このような戦略的な対日工作の方針の下に着々と
推進されている。

はっきり言って、敵ながら見事であり、天晴れである。
日本は彼等のやり方を学び、彼等の手法を熟知して対処する必要が
あるのだ。

100隻を超える中国「民間」船舶が尖閣諸島に押し掛けたら、
どうなるのか、どうするのか。
結局は、政府と政治家の決断と勇気次第である。

「尖閣諸島領海に入った外国船舶は、警告後、全て無条件で撃沈する」
あるいは、「もし、中国が民間、政府を問わず、我が国固有の領土尖閣
諸島を侵略、占領するようなことを目指すなら、日本は核武装を含むあり
とあらゆる手段で中国の侵略行為に対抗する」と宣言し、実行出来るか、
どうかである。

元海上保安大学校校長の三宅教雄氏は「要は政府が、何としてでも阻止
せよと言ってくれたら、海上保安庁は必ずやります」と述べていた。
自衛隊も同様だろう。

そして、日本政府と政治家がなにもせず、領土と国民の生命財産を守る
べき国防の義務を果たさず、手をこまねいて国を滅ぼす前に、私たち草の
根(草莽)国民が起ち上がり、それぞれが誇りある日本国民として、国防の
義務を果たすことを決意すべきときが来たのである。

「草莽崛起」の時代が、本当に来てしまったのだ。
「草莽崛起」という吉田松陰の言葉だが、生半可な腰抜け政治家やイン
テリの言説よりも、今や、名も無い草の根日本人に、我が国の運命が
委ねられている。

私たちの祖国が今、草の根国民に国を守る防人になることを求めている
のである。
靖国の英霊のほとんども、元々、日本全国の草の根(草莽)の民だった。

私たちは中国の尖閣諸島への直接侵略の前に、陸上自衛隊の尖閣諸島
進駐を政府に要求し、あるいは日本の実効支配を更に強化する方法を
とりながら、住民が尖閣諸島に住むような環境を作る事を強く要求する。
しかし、政府が何もせず、現状を放置するならば、私たちは日本国民として
国防の義務を果たすべく、行動を起こさなければならない。

尖閣諸島の実効支配を強化する民間としての行動を様々に起こし、実行
していく。
私たち草莽一人一人が、尖閣諸島が日本固有の領土であることを身を
挺して世界に明らかにするだろう。

特攻隊員の遺句にあった「畔の草 召しいだされて 桜かな」という時代が、
悲しいことだが、本当に到来したのである。

全国の草の根国民は立ち上がり、それぞれ国防の義務を果たすべく、
共に我が国固有の領土尖閣諸島を中国の侵略から守り抜こうではないか。


※ この文章は、「頑張れ日本!全国行動委員会」が国民新聞を通して発行
  した「号外」の寄稿記事を中心に書き変えたものです。

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