秘かに進むマスメディアの皇室解体工作 水島 総
チャンネル桜の創立と運営には、戦後日本社会の中心的存在となったマスメディア
に巣食う内外の反日勢力が行っている対日意識工作、洗脳工作の呪縛から、
情報を解放し、日本を「主語」とした正確な情報を日本国民に提供することも、
大きな役割がある。
チャンネル桜の発信する情報は、国内外の情報戦争における有効で強力な武器で
あり、その存在があり続けることは、情報戦争における日本側の情報「発進」基地で
あり、日本文化防衛の「砦」でもある。
また、そうありたいと願っている。
その中でも特に論じなければいけないのは、マスメディアの問題である。
日本を主語とした(国家意識を持った)ジャーナリズムの自覚の無いメディアが
多すぎるのである。
いや、そんな自覚のあるメディアは、産経新聞を除けば皆無であると言っていい。
その産経すら最近の論調はどこかおかしくなっている。
以前、元 CIA アジア責任者のアーサー・ブラウン氏にインタビューしたことが
あったが、日本のマスメディアへの外国諜報勢力の浸透ぶりはと聞くと、
あなたはどう思われますかと聞かれ、相当なものではないですかと答えると、
笑いながら、水島さんが考えている通りだと思いますよと話してくれた。
GHQ の占領が始まって以来、戦後六十数年、国民の知らない間に、
マスメディアは、それまでの日本の精神的解体を担ってきた。
その秘かな中心ターゲットは、結局、皇室だった。
皇室こそ、世界最古の歴史を誇る我が国の伝統と文化の中心だったからである。
他の分野と異なり、あからさまな敵対行為もしないが、ひそやかに、さりげなく、
国民に対する「皇室解体」謀略工作が進められている。
それは「開かれた皇室論」に代表される論調で、「親しみ」の名の下に、世界
最古の皇室や皇統に対する尊厳や畏敬の念を国民の意識から奪おうとする
「謀略意識工作」である。
雑誌『WiLL』の三月号で、私はマスメディアの謀略意識工作の実例として、
皇居一般参賀における、NHK のニュース映像を取り上げた。
NHK は、何と天皇陛下の御顔を前代未聞のクローズアップショットで撮影し、
放映したのである。
実はこれは大変なことなのだ。
アップショットを撮影し放映することは、心理的に、被写体を、知らぬ間に、
身近で隣人のような、自分と変わらぬ同等の存在として、意識させることを
目指しているからだ。
これは皇室と皇族が体現されている二千年以上続く皇統の権威と尊厳を貶める
ことを狙った映像意識操作なのである。
一時「女系天皇論」が左翼陣営から大いにもてはやされ、皇室典範改悪が推進
されたのは、言葉を換えれば、世界人類史上唯一無二であり、男系天皇の
二千年以上にわたる世界最古の皇統の系譜を断ち切り、相対化を狙った
「謀略工作」だったとも言えるのである。
かくの如き戦後メディアの皇室と日本解体工作は、陰湿な形で今も続けられている。
今や、危険水域どころか工作完成寸前まで進んでおり、重要なことなので、
もうひとつ、実例を挙げたい。
天皇陛下と皇族方に関する敬称についてである。
一月十五日、平成二十一年度の歌会始が行われ、NHK はその模様を放映した。
今年の御題は、「生」である。
天皇陛下の御作りになられた大御歌(おおみうた)は、普通には
「御製(ぎょせい)」と尊称し、披講師たちによって、独特な節回しで朗詠される。
NHK の放映では、その前にナレーションが入り、
「これから天皇陛下のお歌が披講されます」で始まった。
伝統に従えばこのナレーションは
「これから天皇陛下の御製(大御歌=おおみうた)が披講されます」となるべきもの
である。
そして披講師は当然にも、「生ということを詠ませ給える大御歌」と前置きし、
「生きものの 織りなして生くる 様見つつ 皇居に住みて 十五年経ぬ」という
陛下の大御歌の朗詠を行った。
陛下の大御歌は、画面でもスーパーインポーズされたが、何と、御製の前に付け
られた陛下の呼称は「天皇のお歌」だけであったのだ!
当然、これも「天皇陛下の御製(または大御歌)」とされるべきものである。
当のナレーションですら「天皇陛下のお歌」と述べているのに
「天皇のお歌」だけである。
共同通信が皇太子殿下から皇族方を「殿下」という言葉を退け、「様」呼ばわりする
ようになってから、各マスコミが右に倣えして、正しい敬称を使わなくなった状態の中、
ついに天皇陛下の尊称である陛下と言う言葉までNHK の製作者は、秘かに削り、
省略するような工作をし始めていたのである。
日本国民も政府も国会も認めている「皇室典範」の中にも、「天皇、皇后、太皇太后
及び皇太后の敬称は、陛下とする」「前項の皇族以外の皇族の敬称は、殿下とする」
とあるのだ。
今からでも遅くない。
政府、宮内庁は全マスコミに対して、特に視聴料で運営されいているNHK に対しては、
皇室典範に則した敬称を皇族方に対して使うよう要求すべきである。
少し前までマスメディアは、「皇太子殿下」「シアヌーク殿下」等と敬称し、国民は何の
異議もはさまなかったのである。
一体、誰が、何の権利があって、皇室典範に定められ、広く国民も認めて来た
皇族の敬称を変更できるというのか。
これが戦後マスメディアの現実である。GHQ の始めた日本解体工作は、本日、今も、
反日勢力によって静かに、秘かに、推進されているのである。