【巻頭エッセイ】

「日本料理は、器も料理の内」

                   日本文化チャンネル桜代表 水島 総

五月十六日、東京渋谷でNHKの番組「NHKスペシャル JAPANデビュー」の放送法
違反の「やらせ、歪曲」取材と印象操作編集、偏向番組制作に抗議する「国民大
行動」の集会とデモが行われた。
主催は、草莽全国地方議員の会、私が代表を務める NHK「JAPANデビュー」を考
える国民の会、日本李登輝友の会、チャンネル桜二千人委員会有志の会、台湾
研究フォーラム等の日台の諸団体である。

午前十時頃から渋谷ハチ公前で街宣活動が行われたが予想以上の人が集まり、
何百の人たちが弁士を囲む形となり、まるで街頭宣伝活動が集会のような様相を
帯びるまでになった。
先日、拉致被害者家族会が主催した街宣活動に参加したが、今回はそれ以上の
熱気と盛り上がりで、それはそれで嬉しかったが、やはり何か複雑な思いがした。

午後一時半から近くのビルで、このNHK問題についてのリレートークが行われた。
出席は小田村四郎、渡部昇一、田久保忠衛、中村粲、田母神俊雄、佐藤守、林
建良、西村幸祐、井上和彦、柚原正敬、永山英樹 の各氏と、松浦芳子氏他 地方
議員のみなさん、司会は私が務めた。

二百数十人の会場は立ち見の人を含めて満杯で入りきれず、宮下公園のデモ行
進スタート地点でも、リレートークをすることになった。

やはり田母神前航空幕僚長の人気は両会場ともすごかった。
田母神閣下は、先に話をされた佐藤守閣下と中村粲先生を評して、
「私は危険人物と呼ばれていますが、私より危険なお二人がおりました」
導入の話で、聴衆を笑わせた。
演説のうまさはやはりただ者では無い。

デモ行進は、予想を超える一千百三十数名が参加し、集会だけの人たちを合わせ
ると千三百名を超える参加となった。
この数は左翼団体の集会と異なり、水増しは一切無い正味の人数である。
用意された三千個の緑の風船や日の丸、台湾旗、「草莽崛起」の旗が林立し、
整然としかし力強いNHK包囲デモが行われた。

代々木小公園で、一旦解散したが、ほぼ全員がNHKの敷地の周りを囲み、「人間
の鎖」として手をつなぎ、それぞれがNHKへの怒りを表明した。
組織動員も無いデモ行進で、これだけの規模のデモは近来無かった。

デモ行進は全マスメディアに通告をしてあったが、新聞もテレビも、一切、報道は
無かった。
NHKはその日、原発プルサーマル計画に反対する数十人のデモを報道し、翌日の
インターネット上では、NHKに関する検索やアクセス数が膨大なものとなったが、
NHKだけでなく、他の全マスメディアが全く黙殺したのであった。

さて、デモ行進の際の反省として、諸団体や参加者から多数提起されたのが、沿道
の観衆にはNHKの実態を知らない方も多いと思うので、一同で決めたシュプレヒコ
ールの言葉を守らず、「日本変態協会解体~」などと叫んでいる人がいると、デモ隊
全体の方がイメージダウンになる可能性があるのではという意見や、NHKを出入り
している下っ端のスタッフに対して「恥ずかしくないのかー」と叫んだり、直接、突っか
かっていく少数の人がいたが、逆効果だという意見が、多数寄せられた。

私もそれに全面的に同意する。
問題なのはNHKの上層部であり、伏魔殿と呼ばれるNHKの経営構造そのもので
ある。
こういう子供じみたつまらぬ行動は、単なる無責任な自己満足に過ぎない。

私達は、本気でNHKを変えたい、NHKを解体したいと思って動いている。
だから、より多くの日本草莽を覚醒させる最良の手段を選ぶ。

もう一つ、私達は、こういう「民族派左翼」とも言える諸君と異なり、日本の伝統文化
の復興と保持を願う者であり、日本人らしい大らかで堂々とした運動で、私達の信
ずる日本草莽の皆さんの「草莽崛起」を喚起したいと考える。

本当に、命がけで行動を起こすときは、一人で決意し、他人に頼らず、他人に迷惑
をかけず、一人で決行する。

私達の立場を例をあげて言えば、伝統的「日本料理」である。
伝統的な日本料理と言われるものは、料理の素材や味付けだけではなく、盛り付け
等の「見た目」も料理の不可欠な要素として考える。
同様に、その「器」の美しさも「日本料理」の欠かせぬ一要素と考える。
内容と形式のバランスが日本の伝統文化を形成している。

デモに参加するそれぞれの人々の意見の「味」はそれぞれ「美味い」「不味い」は
色々あっていいが、私達は、同時に、「盛り付け」や「器」も非常に大事だと考える。
あるいは料理人の「心」が何よりも大事だと考える。
また、どんな貧しい食材や下手な料理であっても、一心を込めた料理には、私達は
常に暖かな感謝と共感を抱くものである。

それが日本文化チャンネル桜の「志」であり、私達の言う「草莽崛起」である。

私達は、それぞれの「国民大行動」参加者の料理(意見)の出来栄えや味にとや
かく言うつもりはない。
しかし、料理の盛りつけや「器」があまりにも、お粗末で、食べ物の味さえおいしけれ
ば、どう食おうがどんな皿や盛り付けだろうが、何でもありだなどとは、考えないので
ある。
そういう連中はそういう連中だけで集まり、美味い食べ物をむさぼり食って自己満足
すればいいだけである。

「人はパンのみにて生きるにあらず」とは、日本の伝統文化にも当てはまるのだ。

来週の土曜日は、再び、NHKへ日本草莽が抗議の声をあげ、立ち上がる。

見事なまでに正々堂々、日本人の怒りと抗議を示そうではないか。

五月十八日と十九日に、産経新聞の東日本版と西日本版の一ページを使って、
NHKの番組NHKスペシャル「JAPANデビュー」の放送法に違反した「やらせ、歪曲」
取材と印象操作編集の製作手法と偏向番組制作に抗議する「意見広告」が掲載
された。
その抗議文を引用しておく。


 4月5日に放送された「NHKスペシャルJAPANデビュー」第1回「アジアの
 “一等国”」は、放送法第3条に「報道は事実をまげないですること」「意見が
 対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかに
 すること」と定めているにもかかわらず、日本が一方的に台湾人を弾圧した
 とするような視点で番組を制作したばかりか、取材や編集の過程で、台湾
 現地での「やらせ」取材や歪曲取材、悪質な印象操作編集が行われたことが
 衛星放送「日本文化チャンネル桜」の取材で明らかになりました。
 これは国民の税金と視聴料によって経営がなされている公共放送として、
 絶対に許されるものではありません。
 放送法に違反した一種の「情報犯罪」でもあります。
 チャンネル桜の2度にわたる台湾取材によって、番組出演者のほとんどが
 NHKの放送を見て不満や怒りを述べ、やらせ取材の実態を明らかにしています。
 また、「日本李登輝友の会」は、この番組によって、親密な日本と台湾の友好
 親善関係が破壊されることを危惧し、抗議声明や公開討論会の開催要請を
 提出しました。
 これに対するNHKの欺瞞的回答で、これは単なる一番組の偏向問題などでは
 なく、NHK全体に及ぶ放送、制作姿勢の問題であることが明らかになりました。
 私たちは、この問題を公共放送の危機としてとらえ、日本のすべての国民、
 NHK視聴者に提起します。

 一、NHKは「JAPANデビュー」において、「やらせ」取材、歪曲取材、印象操作
    編集による偏向報道を行ったことを反省して訂正・放送を実行し、本シリ
    ーズの制作と放送を中止せよ。
 一、NHKの番組制作担当者、広報担当者、経営者は、日本国民と台湾国民、
    全視聴者に謝罪し、全員辞任せよ。
 一、放送法第32条の「NHK視聴強制加入」を改正して自由契約を実現し、
    全国民のNHK受信料不払いを実現しよう。

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